【本】「都構想」を止めて大阪を豊かにする5つの方法


ひじこうです。

懲りずに大阪都構想についての本を紹介します。

著者の大石あきこさん(元大阪府職員)は橋下徹さんが大阪府知事になり最初の朝礼でかみついた方です。

藤井聡さん(京都大学教授)、山本太郎さん(れいわ新撰組代表)、松尾匡さん(立命館大学教授)と対談形式で都構想の危険性を警告し最後に大石さんが都構想に代わる大阪を豊かにする5つの方法が書かれています。対談形式で書かれているので内容がすごく入ってきやすいです。

■藤井聡さんとの対談

都構想とは大阪市が解体されることであるがその事実が隠されている。4つの特別区に分割され権限・財源も削減される。財源は具体的に3/4になり、これによる住民サービスの低下や、投資への資金も減るため市内の経済も衰退していき市民にとって自殺行為だと忠告しています。

大阪市からの財源を大阪府はうまく使えない。なぜなら大阪府には「都市計画」のノウハウや経験がないためである。ノウハウを蓄積してる間に大阪はどんどん衰退していく。

「大阪維新の会」は緊縮(縮小やカット)の路線で政治を行っているが反緊縮してデフレから抜け出すこそが本当に大阪を豊かにする方法である。

要するに都構想により大阪経済の停滞が起こり、衰退は免れない。

■山本太郎さんとの対談

「維新の会」の行政を民政化していく流れが間違いであるということです。

前回「大阪から日本は変わる」の著者である上山信一さんが「維新の会」のブレーンなのですが上山さんは「都構想」が①集権化(広域化)②分権化③民営化 という3つの要素からなると説明されています。しかしその全てが市民住民のためにならないと警告しています。

①集権化について

大阪市域への投資を大阪府全体への最適投資を行う。ということですが実際は万博・カジノと民間ビジネスへの投資に使われるため大阪市民には返ってこない。

②分権化について

実際に橋下知事が行ったのは「財源移譲」が伴わない「権限移譲」だった。大石さんが勤務していた環境分野でも財源・人員が削られ市町村に権限移譲だけされたため縮小された体制で行うため厳しいものであり、単なる府職員のリストラだったんじゃないか。これが今回特別区にも同じように行われるのではないでしょうか。

③民営化について

住民の生活に直結する仕事を民営化するということは危険である。例えば衛生研究所の統合・民営化ですが機関への資金を削減して研究員がどんどん減っていき最後2017年に民営化されました。研究所は2000年に約15,000人に下痢や嘔吐があった事件の原因を突き止めるなど実績があり住民にとってはなくてはならないものです。これを民営化したら今までの役割を果たせるのか疑問である。

まとめると大阪市民への資金を絞ってビジネスへ投資するのは大阪のためにならない

■松尾匡さんとの対談

「維新の会」スローガンの「大阪の成長を止めるな」はウソ。2016年度大阪の実質GDPは0.0で名目GDPは-0.1だった。実質GDPは生産量、名目GDPは金額なので生産量は変わらず金額が落ちたとということはデフレだったわけです。

「維新の会」の「経済成長戦略」の①身を切る改革で財源を作り②その財源をビジネスに投資して③そのビジネスで生まれた税金を社会保障に回すというものですが政策としては的外れであると主張しています。

①身を切る改革で財源を作る

市政・府政の中で特に目立つのが中小企業振興予算が2007年度から2017年度で9割カットされています。大阪の経済を支える中小企業への予算をカットすることで大阪の経済には悪影響になります。

②その財源をビジネスに投資して

インバウンドに期待した投資を行っていますがインバウンドでは一部のサービス業しか潤わないません。サービス業で働く人は非正規が多く賃金は上がりません。

③そのビジネスで生まれた税金を社会保障に回す

松尾さんがこのやり方は「トルクダウン理論」を思い出すといってます。「トルクダウン理論」とは「富裕層や大企業の富が拡大すればそれが貧困層に零れ落ちてくる」理屈ですが実際はこうはならず外需で利益が上がっても内需が冷え込んでいるので企業は利益を内部保留に回すため賃上げに結びつかないと言われています。

まとめると大阪市民への資金を絞ってビジネスへ投資するのは大阪のためにならない

■大阪を豊かにする5つの方法

大石さんは3人との対談で反緊縮こそが大阪を豊かにする方法だと確信し、5つの分野の所得向上にお金を使うべきだと言っています。

それは①介護②保育③教育④治水⑤水道になります。

特に都構想の先にあるカジノ大量の人材が取られるので開発を中止すべきだし、カジノで取られる人をこの5分野にまわすことが大阪を豊かにする方法だという結論です。


全然まとめ切れていなくめっちゃ長くなりました。

最後まで見てくれる人はいるのでしょうか?

反対するだけでなくこうしたほうがいいのではという対案を出せているので素晴らしいです。文句だけ言う人は嫌いです。あとはちょっと攻撃が弱いように感じました。

「トルクダウン理論」のところが企業の税収を社会保障に回すという話でしたが企業の利益が賃上げにつながらないというのが話が変わってて(関係はあるとは思いますが)しっくりこなかったのと

紹介していませんがファクトチェックその4で「維新の会」の福祉・教育に力を入れているという内容に対して「社会保障経費」が2018年から2019年で161億円増えている。しかし「社会保障経費」の中身には「義務的経費(固定の経費)」と「裁量的経費(変更できる経費)」があり裁量的経費は25億円減っているというの内容で減らしてるやん、フェイクやんと言っています。

確かにその部分だけ見ればそうなのですが子供一人あたりいくらお金があるのかというのが大事なので感覚で言うと学校の統廃合や教員の削減が行われて行っているので十分増えているため裁量的経費を減らしているんじゃないの?と思ったりなんかもっと致命的なところを突いてほしかったなという感想です。

ほなまたね~

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